自笑庵:ともやの時おりおりのメッセージ

HP~スペインの大地とその心を描く~澤口友彌の世界でつづったブログ (2003 - 2011 年)

158. スペイン通信再開

日本のSEの先駆者的存在 K 氏が主宰する kuri3.net に8年近くもお世話になってきた。誠もって感謝の念に堪えないが、データ量も増えてき、このたびサイトを移行する運びとなった。

新アドレスでの門出にともやのスペイン通信を継続することにした。74号「更地の遺跡」から再開。当ブログともどもおつきあいいただければ幸いだ。


【〜スペインの大地とその心を描く〜澤口友彌の世界】
新アドレス http://www.sawaguchitomoya.net/

157. 老化は無理

再起不能になったパソコンを買い替え、ホームページの引っ越しをしてもらっている間に、世の中では気になる事柄が数々と起きた。

第一に大卒者の就職難問題。企業も不況風で、名だけが大卒、それ相応の実力もない彼らに大卒規定の給料を支払ってまで採用したくないのは当然と思う。
大学は学問と教養を培う場であって就職の足場ではない。必死の就(職)活(動)でも職が得られないようなレベルの大学はあまり必要がないと思うんだが。

次に地中海沿岸部のEU諸国のこと。共に深刻な経済危機に陥っているが、スペインは中国にかなりの国債を引き受けてもらった。中国商工銀行が首都マドリーに開店し貿易協定も親密になった。観光業・雑貨・繊維はどこまで防衛できるのだろうか?

一方アフリカ北岸では西・中・東部と3個所で暴動が起きた。とくに一連の中近東勢力中、唯一の親米国エジプトは深刻。
シーア派スンニー派クルド、テロ組織までも共同戦線に組み入れたイランの行動力も不気味になってきた。

そして極めつけは八百長相撲だった。あれだけ不祥事が続いた角界は国技返上を決定すべきだ。そもそも上位力士に外国人が並ぶような競技は国技の値打ちがないと思う。これを機に従来の相撲は廃止し、学生・社会人相撲だけで好いのではないか。

わずか1カ月あまりにこれだけ気になる事柄が起きた。老人も、そう簡単に老化してはおれないな。

156. 風に舞う枯葉

支障がなさそうだったので小田急線の優先席に座ってみた。
次の駅で乗り込んできた50代半ばと思える男は隣の優先席に至極当然というしぐさで座り、これまた「当たり前」という所作で携帯電話で話し始めた。
優先席の付近では携帯電話の電源を切るよう掲示してあり、車内アナウンスでも繰り返し注意を呼びかけているが馬耳東風。こんな親から生まれた子供はろくな者には育たないだろう。

斜め前の座席の若者は無表情で携帯やスマートフォンのようなものをいじくってはしまう動作を繰り返し続行していた。

私は、それなりな別の判断をもっているが、傍目には目前の弱きを助け喜怒哀楽の表現豊かな外国人に日ごろ接しているせいか、日本は単に水気もなく乾ききったカサカサな人間の集まりにかわってしまったようにみえてならなかった。
その上、老いも若きも当面を糊塗する生き様が身についてしまった結果、疑心暗鬼が生じ、付和雷同して自己保全事以外には安易な事象のみにしか興味が湧かなくなってしまったようにもみえる。

某歌舞伎役者が酔っ払って喧嘩したことが日本のツイッターを賑わした。他の文明国では各サイトのみならず、パンクしそうになるまで内部告発ウィキリークスに関するツイッター書き込みが連日続いた、、、この差をつい考え込んでしまった今回の日本滞在だった。

155. 額縁えらび

きたる11月の個展出品作品用の額縁えらびで頭を抱えている。

スペインでは、展示絵画は普通しごくシンプルな細い仮額縁に入れて陳列し、買い求めた人が自分の好む額飾をする。
ところが日本では、額も作品のうちといった具合で額飾済で展示するのが慣例なので、西洋感覚の絵描きとして額縁選びは大変な苦労をともなう。

わしは、スペインの大地の色、壁石、青空の色など、頑固爺がもっともスペインらしいと思う顔料を組み合わせ、胡桃油で練り上げた特製絵の具を使っている。日本感覚で仕上げられた日本製の既製品の額縁とのバランスは、だから、よけい難しい。やっと、これは好い・・・と妥協できる額縁にであっても、需要が少ないのか、すぐに廃番になってしまうのが現状だ。

額縁デザインとそのあり方ーーー早くスペイン(ヨーロッパ)流に改善してほしいものだと常々思ってきた。そうすれば画廊や額装工房はここの顧客と対話し、相互に励みとなりそうなんだがなー。

154. 酔っ払い社会

酩酊の夏の休暇が終わったと思えばストライキの連続。29日にはゼネストに突入するらしい。

口を開けば「デモクラシー」と30年余り叫び続けてきたスペインの現実を眺めていると自由を裏打ちする「責任」が欠け落ちているように思えてならない。

連日のようにテレビ画面に登場するずさんな建築の苦情。工事途中で放置された住まいやエレベーター等など、被害者が苦情をもってゆくところのない現状を知ると、どう見ても行政の麻痺を感じさせる。
一方、日本では国民から活力を奪ってしまう法曹界、教育界、役人の汚職、自堕落が目立つ。
思考・判断などをつかさどる脳の新しい皮質が麻痺し、本能と欲望をむきだしにする古い皮質に支配されてしまう、という本質はスペイン人と同じだろうが、現象としての現れ方がどうも違うようだ。

機会に恵まれたのを幸いに、今秋、【公式HP】志摩地中海村 - 英虞湾の絶景とアラビックスタイル天然温泉のリゾートホテルにて、こんな日本人・スペイン人の比較論をお話しようかと思っています。

        • -

五十鈴塾特別企画講座「遠くて近いスペイン」
期日:11月26日(金)11時〜
詳しくは→https://www.isuzujuku.org/cgi/lecture/program.cgi?mode=lecturelist&month=11&category=6&classify=にて