自笑庵:ともやの時おりおりのメッセージ

HP~スペインの大地とその心を描く~澤口友彌の世界でつづったブログ (2003 - 2011 年)

2009-01-01から1年間の記事一覧

144. 年賀

新春のおよろこびを申し上げます風に押し上げられ、不相応に高くかけ上り、風向きでキリキリ舞いするような凧ではなく、時おり羽を休めながらでも自力で飛ぶ鳥でありたいものです。今年がよい年でありますよう、お祈りいたします。2010年元旦 スペイン・…

143. 渡り鳥異変

偏西風の南下で我が家の近辺にも、ついに冬の冷雨がやってきた。 この夏以来、カスティリャ・ラマンチャを含む中央メセタは旱魃で農作物は大被害をこうむった。 グアディアナ川の流域のルイデラ湿原も強い乾燥のため、泥炭層に干割れが出来て、空気が入り込…

142. 念願成就

絵描きの旅に出掛けると、その村や地方の生い立ちやら風俗習慣から食べ物・特産品まで、何でも見聞きするのが楽しい習慣となっている。晴天に誘われクエンカ地方に出掛け、唯一心残りであったMIMBRE(ネコヤナギの一種)の収穫前の姿に出会えた。今では民芸品…

141. 冬近し

カンタブリア山麓の小さな村の万屋(よろずや)で久し振りにZUECO(木靴)に出合った。スペインでは古い伝統に支えられた降雪地方の民具のような物だ。雪解け時にお隣さんにちょっと出掛ける時などに重宝がられている。 この木靴は、地方によってはSUELA(靴底)と…

140. 緑のスペイン

北東部のカンタブリア山脈は石灰質だ。北側の山麓からビスケー湾までの幅10km長さ200kmにおよぶ海岸地域は、肥沃な石灰質と西岸海洋性の湿潤気候で野菜の栽培が盛んだが、特に赤ピーマンの特産地。 オーブンの受け皿に水を張って、全体が型崩れして…

139. 野生のゆとり

学生時代から傾倒していた構造主義の祖と云うべきレビーストロース氏が永眠されたニュースに接し、生命の循環と偉大なる人間には、エンマ様も少しは手加減して現世に今一度追い戻してほしかった。残念で仕方がない。野生から出発して文化現象も言語構造と同…

138. カール大帝の宿

東北の詰めにカンタフリア海に流れ込むASON川がある。その川口にLIMPIASと云う700年代から栄えた古い港町がある。 この港でロバやラバ・羊毛・トウモロコシ・石膏・木材などの地場産品を清掃(LIMIAS)して船積みした。 海風に耐えた貿易商人の館が点在する寂…

137. 傘寿の楽しみ

この夏は主治医に引き回され専門医の検査漬けで沈んでいたが、結果としては「歳相応のガタ」がきているが何とか持ち堪えられそう、と云うことだった。イヤな錘から開放され、秋の陽射しの温もりの中で傘寿を迎えることが出来た。 第二次世界大戦を経験した私…

136. 野鳥異変

我が家の一番鳥はMIRLO(クロウタドリ)の鳴き声だ。春先から夏にかけての明けどきの暗いうちに、窓辺の立ち木ではじまる愛しく長いさえずりだ。その音色は詩の朗読の趣に似て、私の胸奥に染み込んでくる。たしかに人間に何かを語りかけているようだ。真っ黒で…

135. 検索

辞書や辞典の頁をアトランダムに開いて、記載されている漢字や英語の意味や意味合いを暇つぶしに眺めることが好きだった。 それが、近年パソコンを始めてから、GOOGLE検索で遊ぶことに移った。 それにしても、グーグルの検索能力の進歩と、内容の充実には驚…

134. アイレ プーロ Aire Puro

地球温暖化防止の国際会議で鳩山首相の演説を聴いて(読んで) AIRE PURO(澄んだ空気)を胸いっぱい吸い込んだ様な安心感を味わった。 論旨の格調の高さはもとより、何年ぶりかでスヘインのTVでも、演説中の首相の姿が放映された事だ。 残念ながら、近年の一般…

133. インフル余波

教わったことも忘れてしまいそうな3ヶ月間の夏休も終わって、新学年が9月15日頃から始まった。 「手を洗う」ことが最初の行事だった。 スペインではGRIPE A(流感A)と命名されたインフルエンザーの対応策なのだ。 乾燥度の高い地方では、手軽に手の洗える川・…

132. 馬の血統

全力疾走から急停止するギャロップ、障害物を飛び越える特技には定評があるANGLO-ARABE種の妙技に最大限の拍手を送って王立馬術学校の演技を見てきた。馬種は命名通り、英国の純サラブレッド種と純アラブ種との交配種だ。 スペイン変遷史の内で約800年間はア…

131. 漢字にも流行りあり

「神風」から始まったTシャツに模様(デザイン)として漢字を書く(描く)ことは、少数派ながらスペインでは根強い人気がある。武道の流行で「柔」「力」「勇」の一文字もの、「空手形」は連続して読むと爆笑ものだが一世を風靡した。直江兼続ばりの「愛」「恋」…

130. やっとコオロギも鳴けた

長い夏の休暇も、後半は、例年になく35度以上の猛暑の連続で、レンガ建ての高層長屋は熱気が溜まってしまう。夜中2時までは30度を下らない。湿度は常に30%前後だから、汗でベタベタすることがないのが唯一の救いだが、末期高齢者にとっては、気楽な夏ではな…

129. 個人主義にもヘド

マイクとレンズの区別がつかない様に、リポーターの上半身をドアップで、しゃべっている間じゅう長々と映している。 サーバー不調で、TVを観る機会が多くて、ニュース番組をかなり長く観た。ここまで自己宣伝しないとまともにその地位を確保できない自己主義…

128. 混沌社会

絵描きに数学の方程式を解かせたり、内科医に土管工事をさせたら「お門違い」なんだが、それがコントンとして「味噌も糞」も一緒になっている日本社会。こんな甘さが、麻薬所持犯罪をおかしたタレントの芝居を見抜けなくて、最高裁が宣伝に使ってしまった。…

127. 王座

灼熱の農園で干草の積み上げ作業を終えて戻った年老いた農夫は焼きついた顔に微笑みを湛えながら話してくれた。 お爺さんの頃、教会前にあった古木で造ったこの椅子で、仕事を終えた一時、自家製のSIDRA(リンゴ酒)を飲みながら涼しい風になぶられたら、王様…

126. 季鳥かな

地球の温暖化か? それとも食べることに真剣みをなくしたのか、寒い冬が来ても暖かな南へ移住する苦労を省略し、居付いてしまう怠けコウノトリが年々増える様に思う。 それにしても、真夏の何処までも高い紺碧の空に舞うコウノトリの優雅な姿は、やはり夏を代…

125. 伝統と個人情報

スペインで今50才ぐらいの人達は義務として一定期間の兵役か、女子は社会奉仕の義務を果たした。その上教会で洗礼を受けていないとパスポートは交付されなかった。そんな教会権力と、現政権は真っ向から対立している様だ。例えば、 同性結婚を認め、公立病院…

124. 自動か手動か

マドリーの中心ソル広場(太陽の広場)に国鉄(renfe)の近距離専用電車が3年越しに乗り入れ、盛大な開通式があった。ほとぼりの冷める時を待って、野次馬根性で出掛けて見た、感想を羅列します。 自動改札口では定期券を懸命に押し付けても、自動読み取りは作動…

123. 白い地金

スペインが誇る国営ホテルのベランダに干された洗濯物・・・。何と無様な眺めだ。話している言葉や内容でアングロサクソンの様だった。二人乗り自転車同好会の連中だった。バイキングの朝食には、いの一番に見晴らしのよいテーブルを占領し、食事が終わって…

122. ピコス・デ・ヨーロッパ

カンタブリア山脈をスペインではPICOS DE EUROPAと呼ぶ。ヨーロッパ大陸では古い古第三紀層の山だ。砂岩と泥岩の互層から出来ている6500〜2500万年前の地層で、ツルハシの様に尖っているのでピコと命名された。 ESPIGUETE山 2450mの晴れ姿だ。 標高1000m程…

121. ローマモザイク その3

発掘途中。土を取り除いた部分にモザイク模様の床面が見える。 壁の残骸は部屋の仕切り。

120. ロマモザイクその 2

邸宅の敷地4400㎡中1400㎡を占める「浴室」の一部。 排水溝に素焼き板を被せる。その上にグル石を並べ、漆喰で練った土で固める。その上にモザイク模様をほどこす。

119. ローマのモザイク

今年の春に初めて公開された1〜2世紀頃のローマモザイクを見学に出掛けた。ローマ時代の将軍(土着した豪族)の邸宅址4400㎡の床面にほぼ完璧に残るモザイク模様だ。 この二枚の写真は、住居部分3300㎡の中心に当たる「謁見の間」に在るモザイク。制作年代は、…

118. 飢餓の思い出

ツバメに出会った帰り、グアダラーマ山脈を越えた。北斜面のヘヤピンを標高1600mほどへ登ってくると、松林の下草は一面のワラビ(成長したシダ)だった。乾燥したスペインでは珍しい眺めだった。春先にはワラビがニョキニョキと伸び出てくる様を想像すると、…

117. ツバメは人間が好き

季節移民の農業労働者をGOLONDRINA(ツバメ)と呼んでいた様に、ヨーロッパのツバメは寒気を逃れ、中央・南アフリカに移動する。太陽の光が長くなり微妙な気圧配置を感じ、生殖腺が刺激され故郷に戻ってくるらしい。我が家の近辺に戻って来る種類は、体全体が…

116. 食い気の意地汚なさ

末期高齢者ともなると、何事にも「待った」が聞かなくなる。 むしょうに「ミダラシ団子」が食べたくなり、蓄えてある和食素材から、団子の粉を探し出し茹で上げる。 中学(旧制県立中学)は飛騨高山だったので、団子はあくまでも(○)、タレは「生タマリ)。こん…

115. 大地の恵み

十年ぶりに懐かしい泉に出会い、感無量!!!。 壁と蛇口は綺麗になっていたが、蛇口から直接水を飲むとき、上下二本の棒で、片手片足を支える。この木の棒は昔のままで、思わず撫ぜ回してしまった。 2000年当時、一枚のタブローを仕上げに通ったのも、ちょうど…