162. 原発不手際の余波
無性にぜんざいが食いたくなった。
古い話だが、カッセレス県の小さな村役場の前庭で白っぽい小豆を見た記憶をたどり、やっとまちの乾物屋で買い求めてきてもらえた。煮込むと色は白っぽいが味はまさに小豆だ。欲望を満たした本能的落ち着きを堪能することができた。
被災地の皆様の不便とは比較にならない些細なことだが、小豆が簡単に手に入らなくなったのも文句なく東電の原発事故処理の不手際が唯一の原因だ。
EUでは放射性物質を含む日本製品の輸入禁止策をとっている。したがって、スペインでも原則として日本からの食料品は輸入に制限をかけている。それでも一品につき90ユーロ(約1万円)の検査費を支払えば輸入商品や個人向け小包を受け取れないことはない。
しかし、しかし。
スーパーの100円均一コーナーで売っているおかきや、栗まんじゅう・大福・餅・紅しょうが・キュウリのきゅうちゃん漬けでも送ってもらおうものなら検査費だけで約5万円。プラス郵送料、物品輸入税+消費税+ほぼ強制的に利用させられる代行業者への手続き代。これを快く支払える人はいなかろう。
この措置は、最初は6月で打ち切る予定だったらしいが、日本側の処置不手際で9月まで延長されてしまった。日本の原発関連ニュースをみていると、どうも再延長されるんじゃないかと怒りと不安感が募るばかりだ。
ぜんざいやおせんべいぐらい無事届いておくれよ。