自笑庵:ともやの時おりおりのメッセージ

HP~スペインの大地とその心を描く~澤口友彌の世界でつづったブログ (2003 - 2011 年)

141. 冬近し

カンタブリア山麓の小さな村の万屋(よろずや)で久し振りにZUECO(木靴)に出合った。スペインでは古い伝統に支えられた降雪地方の民具のような物だ。雪解け時にお隣さんにちょっと出掛ける時などに重宝がられている。

この木靴は、地方によってはSUELA(靴底)とも呼ばれている様に、寒い冬の室内履きの麻裏ズックを履いたまま突っかけて履く。
落ち葉の吹き溜まりが所どころにある坂道の人々は、この木靴を履いてゆっくりと歩くのだろう。呼吸を調整し、体力の消耗を最小限にする術を自然と心得ている村人たちを眺めていると、人間の底力の御裾分けを頂いた様で晴れ晴れとした気分だった。