150. 砂上の楼閣
この冬はやたらに長雨が続き、例年の9倍も降った。
スペインの小麦はこの冬の雨が降れば豊作。だから農民は雨降りを「よい天気だ」という。今年は「よい天気」が続きすぎて大災害を引き起こしてしまった。
ただ低い場所に屋並があったため、土砂と雨水が洪水のように流れ込み、床上3メートルを最高にベッドの高さまで浸水した屋並は数え切れない。当然、河川は氾濫。蔬菜、果実畑の冠水、とくに地下に粘土層にあるブドウ畑は根腐れがはじまったようだ。
一方、マドリー近辺やアンダルシア地方のように砂の堆積層上にできている家は、砂層と崩壊と共倒れが続出し集合住宅に亀裂ができ、お隣さんが覗けたり、雨水が浸水して突然壊れ落ちる事故が目立った。
部屋の床で自然に転がってくるテニスボールに夢中になって遊ぶ子供の姿がTVに映し出されたが、どうも笑ってすまされる問題ではなさそうな気がする。