以前、村に取材に入るときは、できるだけこまめに「こんにちわ!」と声をかけることを心がけてきた。
変な東洋人が、めったに村人以外は通らないような裏道へキョロキョロしながら顎を突き出して入ってきたら、十分に警戒する価値はあったと思う。
そんなとき、身の安全を確保し存在を明示する保身術としての挨拶だった。しかし、そのうち見知らぬ人同士でもかなりの頻度で軽く挨拶を交わすことがだんだんとわかってきた。気安さもプラスされて、相変わらず村人に出会えばかならず声をかけ、畑や工事現場の人たちと目が合えば左手を軽く上げて挨拶する。
身についてしまったようだ。それにやっぱり相手の顔がホッと和むのをみると心の爽やかさを感じ、親近感も増す。
これも取材のひとつの楽しみだ。