自笑庵:ともやの時おりおりのメッセージ

HP~スペインの大地とその心を描く~澤口友彌の世界でつづったブログ (2003 - 2011 年)&その他

14. うれしい便り

9月になるのを待ちかねて近くのタパス料理屋へ行った。

ワインの肴に塩茹でした海老と好物のムール貝のマリネをあつらえてもらった。手空きの給仕さんと「食べる海老のはらわたは取り除かんのに、食べないムール貝の殻はきれいに掃除するのやなー」なんて世間話をしている間に、ムール貝の特産地ガリシア地方で起こった沈没タンカー・             プレステージ号の原油流出騒ぎを思い出し、早々に切り上げて家に戻ってきた。

先日、同ガリシア地方の友人が送ってくれた新聞記事を紹介する。

───ワタナベトモヒロ君はサンティアゴへの巡礼の旅に来てプレステージ号事件に遭遇した。彼は巡礼のシンボルであるホタテの貝殻と杖をマスクと作業服に替えた。その後5ヶ月間、何一つ要求することもなくまったくのボランティアとして手仕事でしかできない岩場の除油作業を黙々とやりとおした。最初は多かったスペイン人のボランティアたちもだんだんと減り、純粋なボランティアは彼一人となってしまった。政経学をやりおわった彼はいったん帰国したが、すぐにまたガリシアに戻ってきて、以前にもまして、ただ1人、2キロメートルの砂浜に残る原油の除掃作業を3ヶ月間続けた。あんな真面目で誠意に満ち、勤勉で無駄口の少ないすばらしい青年はみたことがないと、彼の宿泊していた巡礼宿の人たちはもちろん、ワタナベ君を知った人たち全員が絶賛している。8月12日、ここで知り合った人々が送別の宴をひらいてくれ、多くの土産物(中でもかわったものとしてバリカン)をもらい、ヨーロッパ経由して静かに帰国して行った。フィニステーレ市長も彼の功を称えて記念のバッチを送っている───

ワタナベ君の写真入り新聞記事を見るにはここをクリックしてください。

すばらしいなー。日本にもこんな立派な青年がおったのかと嬉しくなってきた。ワタナベ君はなんの政治的思惑もなく、純粋な人間愛に燃えた真の国際人と呼べるであろう。日本社会もこのような青年こそ、まっ先に探し出し表彰してほしいものだ、とスペインの地より願っている。