自笑庵:ともやの時おりおりのメッセージ

HP~スペインの大地とその心を描く~澤口友彌の世界でつづったブログ (2003 - 2011 年)

153. ホームページより回覧板

IT の流れでスペインでも WWW が多くなり、各自治体でも張り合ってホームページを開いているが実に有名無実。
先日も、とある遺跡へでかけたくてその町の役所のホームページにアクセスしたらフラッシュづくり、動画も満載の凝りに凝った画面が現れ、これはすごい!の感動を裏切られ、中身は遺跡の部分写真のみだった。開場時間、見学所要時間はもとより、案内図すらみつからなかった。
WWW はトップページのみの看板、というのが普通の現状かな。写真のような扉にはさんだ回覧板がスペインにはいまでもよく似合って風情があるよ。

ソリア県カラセーナ村にて

152. 暑中お見舞い申し上げます

日本は男性型梅雨の最中にあるようですが、マドリーも零時で33℃と寝苦しい連日です。

八十路ともなると生活が間延びしてしまい一点重点的になり、各方面へ脳がスムーズに移ってくれません。
平均寿命が延びただけ人間は進歩した…と思っていたら、ただ間延びしておからのようにスカスカになってきたことを実感しています。
「少年老いやすく学成りがたし」の偶成をあえて「愚かなり」と誤読し、日課になった公園散歩で口遊みながら「間延び」にささやかな抵抗を試みています。

今秋11月17日から7日間、大阪の大丸心斎橋店にて個展開催予定です。
お目にかかれることを楽しみに精進するつもりです。
サッカーW杯でのスペイン勝利を祈りつつ。

地中海

151. 尻なし男

最近なにかちぐはぐを覚えるーーーと思っていたが、それはGパン姿の若者の尻がぺちゃんこでぶかぶかしているからだ。尻に肉がついていないのだ。スペインに住み始めた頃の若者は漫画ポパイの悪役ブルートを連想させ、彼らもそれに憧れているようだった。

世の中が豊かになり、新しい輸入品は市場にあふれ、便利になれば当然努力や忍耐はできにくくなる。映画・音楽・スポーツは氾濫し、歓笑のみに明け暮れる安易さだけを追求した結果が "No tienen culo" になってしまった。このスペイン語表現は、尻なし男・精力のないお前さん・端くれさん・カス男と解釈してもらったらいい。

野球選手ほど力強い尻までは要求しないが、「板尻」は病的で習慣的不健全な麻薬の不吉さを想起させる。

そういえば情報紙 OSC にスペイン紙幣にのこるコカインは 150 マイクログラムで、大気中からもコカインと LSD が検出されるとあった。手軽に紙幣を巻いて細い管にしてコカインを吸い込む、これが他の紙幣をも汚染するのだそうだ。
ちなみにドイツは 30 マイクログラム。北欧の某国は 0,7 だそうだ。

150. 砂上の楼閣

この冬はやたらに長雨が続き、例年の9倍も降った。

スペインの小麦はこの冬の雨が降れば豊作。だから農民は雨降りを「よい天気だ」という。今年は「よい天気」が続きすぎて大災害を引き起こしてしまった。

ただ低い場所に屋並があったため、土砂と雨水が洪水のように流れ込み、床上3メートルを最高にベッドの高さまで浸水した屋並は数え切れない。当然、河川は氾濫。蔬菜、果実畑の冠水、とくに地下に粘土層にあるブドウ畑は根腐れがはじまったようだ。

一方、マドリー近辺やアンダルシア地方のように砂の堆積層上にできている家は、砂層と崩壊と共倒れが続出し集合住宅に亀裂ができ、お隣さんが覗けたり、雨水が浸水して突然壊れ落ちる事故が目立った。

部屋の床で自然に転がってくるテニスボールに夢中になって遊ぶ子供の姿がTVに映し出されたが、どうも笑ってすまされる問題ではなさそうな気がする。

149. 懐かしいタバコの一本売り

ギリシャの国家財政SOSはEUの援助で立て直る兆しが見えてきたが、EU域内では、他にも南部諸国でかなり深刻のようだ。
スペインでも即効策として、定年を67才に延長した。これにより社会保障費の掛け金の収入と年金支出の不要で約2倍の得。
学生には、BECA(奨学金)を支払うかわりに、卒業後の将来に一定の職種への優先的就職を保障する取り組み。
若者は選り好みしなくても、働く場が皆無に近い。荒んだ若者に飴をしゃぶらせる為か?、タバコの一本売りを認めるようになった。レストラン内でも、歩きタバコも禁止して、世界の風潮に遅れじと努力しているこの国ではなんとも理解に苦しむなりゆきだ。でも一昔前、週給・日給の多かった頃には、一本売りがよくはやっていたものだ。
先日も我が町では珍しくサンドイッチマンに出会ったが「金銀高価買取」の宣伝だった。
昔から世情不安定な社会ほど、身に付ける装飾品を買う。と言われてきたが、スペイン人もガチャガチャと首輪をして、複数の指に指輪をしたり、と身を飾ることが好きの様だが、こんな時に役立つんだろう。
日増しに切迫感が漂ってくるこの頃です。