自笑庵:ともやの時おりおりのメッセージ

HP~スペインの大地とその心を描く~澤口友彌の世界でつづったブログ (2003 - 2011 年)

62. 旅で脳力開発

春一番も通り過ぎ、外出の季節感が足元からじわじわと這い上がってきて心を揺さぶりはじめる。示し合わせたように、パラドール(国営ホテル)でも友の会会員への割引優遇措置をしてくれるホテルの数が3月に入るとぐんと少なくなる。おまけに全日または月~金だった優遇日も月~木となったりする。英独から老人たちがどんと押し寄せてくるから、会員割引で勧誘しなくとも部屋は全部埋まるという勘定のようだ。

一時期、治安よろしからず…と旅行者に不人気だったが、その後世界中どこの国でも治安が悪化したためにスペインは目立たなくなり観光業は回復したようだ。

国の玄関にあたるマドリーのバラッハス空港も第4ターミナルが増設され、先月から稼動し始めた。これからは空港へ人を出迎えに行くときは、到着ターミナルをしっかり確認しておかないと大変だ。T1からT4まで歩いたら30分ほどはかかるだろうから。

成田空港のように航空会社によりT1かT2とはっきり分かれていれば問題はないのだが、バラッハス空港での分類は航空会社別と、出発地がEU内か外かの複雑な組み合わせとなっている。その上、搭乗口や到着出口が突如として変更されたりするから油断はできない。

2月5日、第4ターミナルがオープンした当時の状況は、OCS生活情報誌によると離着陸予定621便のうち夜の8時までに431便しか消化できなかったし、うち44%が遅延。エスカレーター、エレベーターの停電、チェックインの誤作動・停電などで受付の順番待ちをしている間に飛行機が飛んでいってしまったりした。90kmもある荷物移送用ベルトコンベアでの仕分け不適切で紛失荷物多数。案内不足…etcで空港内は大混雑だったらしい。

最後に情報誌は皮肉たっぷりに「関係大臣はまあまあのスタートだったと言っていた」と伝えている。しかし私は逆説的に大臣はうまい発言をしたものだと素直に納得できた。最新技術やら設備導入をしても取り扱う人間が同じだから…と大臣は考えたのではないか、と。少なくとも日航のトラブルよりもショックは春らしく明るい。

いずれにしても外国旅行は、出かける本人も受ける側も慣れてきたので大変に出やすくなった。
子供のときから塾に通い、大人になっても塗り絵から写真にいたるまで取材場所から方法までマニュアルがないと取り組めなくなってしまった日本人も、そろそろ団体旅行は切り上げたらどうだろうか。自分で旅行計画を立て、まごついて考え、失敗して反省することからいま流行の脳力開発がはじまるように思えてならない。