自笑庵:ともやの時おりおりのメッセージ

HP~スペインの大地とその心を描く~澤口友彌の世界でつづったブログ (2003 - 2011 年)

55. 中国製大旱魃(かんばつ)

中国の日照りの魃(ひでり)神がスペインまで来て暴れまわっているのか、60年ぶりという大旱魃に襲われ、政府は節水を呼びかけ、猛暑・山火事対策に全力投球している。

とは言っても、雨が降らないのだから自ずとその対応は限られており、単に対処でやり過ごすしかなさそうだ。なにしろ昨年の秋から冬場の雨の多い季節に雨に祟られることもなく、わが家では3月下旬以来雨は記憶にないと思っていたら、やはりスペイン全土で平年の半分に過ぎなかったようだ。その上、この秋までは雨らしい雨は期待薄との観測である。

地球の温暖化がなせる業か、スペインでは25年と11年前頃に3~4年の旱魃期があった。今回もそのサイクル上の気象現象とすれば、目下、各河川の給水量は地中海に流れ込むエブロ河でマイナス25%、大西洋側北部のドゥエロ河でマイナス38%、南西部のグアダルキビル河でマイナス40%と前年比を大きく下回っている。この先2~3年はより深刻な水不足となるわけだ。

スペインには蓑(みの)笠はないが、得体の知れない格好で太鼓を打っての雨乞い踊りはある。いっしょになって踊ってやりたい心境だ。

ところが中国の魃の神は繊維・靴・雑貨業界にも大旱魃を運んできた。2000年のスペイン繊維業界で働く労働者数は25万人ほどだったが、今は19万人ほどと6万人近い雇用喪失となっている。

これは中国の輸出商品にランジェリーからパーティードレスまで残らず組み込まれているせいだ。とくにTシャツはEUのこの第一四半期で180%強。セーター類は5倍に跳ね上がる勢いで急増した。当然スペインも直正面からその衝撃を受けたわけだ。その上、同期のEUは中国製靴輸入高が前年比の約7倍まで膨れ上がった。世界に誇るイタリアやスペインの靴メーカーにとっては死活問題だ。

今日も新しい山火事が起きたようだ。某新聞社の調査によると、首都マドリー近辺の1150校で5万6千人の小学6年生に実施した学力テストで、一辺が50mと100mの長方形を10周したら何kmになるかの問題で不正解が70%あったとある。7時15分前に家を出て学校に8時20分に着いたら所要時間は何分かの問いでは50%が不正解。キャンプ場で水をかけて火の不始末をすることは知らないという。これでは中国をはじめアジアの攻勢をはね返す勢いが育つのかどうか。

クッと唇を噛む猛暑。

lago-albacete 2005

今日のショット「カロリーメート」
3月から雨が降らんとダムもこうなってしまう。 禿(はげ)山を眺めているとイランの辺とあまり変わりがないようだね。 村になかなかたどり着かなくて、山頂でフルーツ味のカロリーメイトをかじりながら やはり一神教が育つ自然環境とはこんな厳しさだと身にしみて感じたよ。