自笑庵:ともやの時おりおりのメッセージ

HP~スペインの大地とその心を描く~澤口友彌の世界でつづったブログ (2003 - 2011 年)

30. 熟しすぎかな

この春、帰国して、横浜の駅ビルにある某文化センターのロビーへ待ち合わせに出かけたら、なんと壁いっぱいに何段かの状差しが100ヶほどもあって、全部○○教室の受講者募集パンフだった。日本はまたずいぶんと習いごとが盛んなところなんだろうと驚いてしまったねー。

ほとんどが戦前生まれという顔つきだったが、向学心に満ちた顔の中に混じって暇つぶしの顔もけっこうあった。いわんや、レストランに入れば9割方はご老人で外食産業花盛りの盛況…。いずれにしてもご老人方の経済的ゆとりに感心したね。

こんな現象はスペイン人にはとても理解できない事柄やと思う。景気がよいといわれるスペインで、結婚して21年経ったが家族でいまだに一度もレストランに入ったことがない…なんて並みのサラリーマン家庭を現実に見て暮らしていると、わしにも日本は何が不景気なんだかさっぱりわからんようになってしまっている。

でもわかったというか、心に引っかかったこともけっこうあったね。思いつくままに書いてみると、1つ目は「言い逃れ社会」ということかな。

◆ 熱湯でやけどには十分ご注意ください(熱湯で温めるシチュー・熱湯を注ぐ牛丼)
◆ 切り口で手を切らないよう取り扱いにはご注意ください。(缶詰のゆであずき)
◆ 湯せん後の開封は、中身が熱くなっておりますのでやけどしないようにご注意ください。(おしるこ)
◆ 空袋を子供がかぶって遊ぶと窒息などの危険がともないます。空袋は子供の手の届かないところに保管してください。(米)

こんな人を馬鹿にした注意書きって何なんだろう。行き届いた丁寧心ではなく、会社の自己防衛だろうか。「注意」がなければ気付かないほど日本はフヌケ社会になってしまったんかな。個人の責任意識が強いスペイン人に話してやったら、それはなんじゃ?!っていう顔をされたよ。

2つ目は「フリーズドライ社会」。

人間に水気が不足して弾性体でなくなってしまった感じだった。とにかく迫力がない。買い物をしようとしても売り子さんに商品知識がない。スペイン並みになってしまって情けないことよ。おまけに無感情な顔つきで突っ立っているだけ。商(あきな)いとは飽(あ)きずに売り込むことやよねー。デパートの食品売り場などは別やけど。さすがデパートの売り上げを支えているだけあって熱気と生の活力満々で、こちらまで生き返った気分になったねー。

朝から夜中まで食べ物だらけのTVにも驚いたわ。食・性・寝の欲は本能だから…でもガクンときたね。中国や韓国に数学や英語力が見劣りしても仕方ないかな。